セリーヌがユースカルチャーとの融合を果たした象徴「Z」トレーナーとは?
本記事では、セリーヌの2021年春夏コレクション「THE DANCING KID」より登場したスニーカー「『Z』トレーナー」について、ショーの概要やユースカルチャーとの融合に焦点をあてながら解説いたします。
THE DANCING KID
エディ・スリマン手掛けるセリーヌが2021年春夏コレクションのショーをオンラインで発表しました。
その名は「THE DANCING KID(ザ・ダンシング・キッド)」。
ショーは、全面的にカジュアルな印象で構成されておりました。
ビビットなジャケットやパーカー、派手な柄入りのニットやカーディガン、チェックシャツといったアイテムの数々は、まさに現代の若者たちのスタイルが反映されたものでした。
このシーズンのコレクションの内容に衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか。
理由は、これまでエディ・スリマンが手掛けてきたロックなテイストと全く異なるものが披露されたからです。
ショーの特徴を以下の3点に焦点をあてて見ていきましょう。
- TikTok
- Eボーイ
- スケーター
「TikTok」の影響
今回のコレクションの着想源は、若者を中心に爆発的流行を見せているTikTokです。
TikTokは、短い動画を共有するプラットフォームで、ダンスや音楽を中心とした動画が多く、たくさんの流行がここから生まれております。
ショーの中では、TikTokで大流行したカナダ人ラッパー Tiagzの楽曲「My Name Is Tiago」がサウンドトラックとして起用され、プロモーションにおいても海外の人気ティックトッカーを起用し、コレクションが告知されておりました。
今回のコレクションは、そんな若者が熱狂するTikTokカルチャーに影響を受け、体現されております。
現代のユース像「Eボーイ」
Eボーイは、エレクトロニック・ボーイの略で、特にTikTokで見かけるスタイルを指します。
ストリートウェアとヴィンテージスタイルの要素を取り入れた、大胆で個性的なスタイルが特徴です。
レイヤードされたチェーンネックレス、ビッグサイズのスウェットシャツ、ワイドなデニムなどがショーのなかで披露され、終盤ではなんと、電飾で光るデザインのブルゾンが登場しました。
これはまさに、自己の存在をアピールするEボーイの姿を彷彿とさせるものでありました。
ファッションにも取り入れられる「スケートカルチャー」
スケーターファッションは文字通り、スケートをするときのファッションのことです。
ダボッとしたシャツにワイドなパンツ、キャップ、スニーカーなど、基本的に動きやすさ重視のスタイルですが、センスの高さが人気を集め、ファッションとしても取り入れられるようになりました。
スケートは、いつでも若者たちを虜にし、夢中にさせてきました。
そんな自由な精神と洗練されたストリートスタイルが、コレクションのなかでも取り入れられております。
ユースカルチャーの融合
エディ・スリマンは、これまでにディオールオムやサンローラン、2020年までのセリーヌにおいて、一貫してロックテイストなスタイルを貫き続けておりました。
それが今回のショーで一変。
ロックなテイストを期待したギャップに驚いたファンも多かったようです。
しかし、彼は決してロックテイストの路線を放棄したわけではなかったのです。
セリーヌのデザイナーに就任して以来、彼は自身のロックテイストのアプローチを進化させ、より多様な視点を取り入れることによって新たな方向性を探求しておりました。
そのなかで、特に新世代のユースカルチャーへの焦点をあて、創造性をアイテムに取り入れることによって体現させていったのです。
つまり、彼自身のこれまでのスタイルを進化させることで、現代の文脈に適応させたのです。
今回のショータイトルは「THE DANCING KID」。
これは、コロナ禍で家に閉じ込められた若者が、ダンスをすることで退屈さを解消し、自己表現していく姿を指しております。
現代のユースカルチャーを理解し、それをラグジュアリーブランドと組み合わせることで、新しい自己表現の機会を創出した彼の提案は、まさにロックテイストとユースカルチャーの見事な融合を果たした最高のコレクションであったといえるでしょう。
「Z」トレーナー CT-01 ハイトップスニーカー
「THE DANCING KID」コレクションより、シューズの新ライン「セリーヌ トレーナー」が登場いたしました。
この新ラインのスニーカーは、80年代から90年代初頭のLAの若者から着想したスニーカーです。
なかでも代表的なアイテムが「『Z』トレーナー CT-01 ハイトップスニーカー」です。(定価121,000円)
分厚いアウトソールが特徴で、クッション性に優れており、なおかつカーフスキンを100%使用しているので、履き心地も抜群です。
オーバサイズのトップスやワイドパンツを合わせることで、スケートファッションが完成します。
シューズの後ろとタンに「CELINE」ロゴがあしらわれているのも新ラインの特徴です。
そして、このアイテムの着目すべき点は、サイドラインです。
一見、そういうデザインなのかな?と思う程度ですが、実はそうではありません。
ここには、さり気なく「Z」の文字が取り入れられているのです。
商品名にも記載されている「Z」の意味がわからない方もいたのではないでしょうか。
この「Z」はサイドラインの模様を表し、そしてその「Z」は「Z世代」からきているのです。
なんとも遊び心溢れる演出ですね。
この「セリーヌ トレーナー」シリーズは、発売から定番化し、これまでに色や柄、モデル(ハイカットやローカット)など、さまざまなバリエーションで展開されております。
ぜひお好みでアイテムをチョイスし、若者のように自由な表現を楽しんでみてはいかがでしょうか。
まとめ
本記事では、セリーヌの2021年コレクションより発売されたスニーカー「『Z』トレーナー」について、以下の点を解説いたしました。
・2021年春夏コレクション「THE DANCING KID」の概要
・「『Z』トレーナー CT-01 ハイトップスニーカー」の特徴
いつでも流行の最先端は若者です。
次はどんなトレンドが来るのか?
そんな予想をしながらアンテナを立てつつ、ファッションを楽しんでみてはいかがでしょうか。